はくちょう座にある「網状星雲」を撮影してきました。非常に美しい天体ですが、全体的に淡くコントラストが弱いため、きれいに捉えるのがなかなか難しい対象です。今回は、冷却カメラの「ZWO ASI294MC」とナローバンドフィルター「SVBONY SV220(デュアルバンドフィルター)」を組み合わせて挑戦してみました。実際に撮影した際の印象を合わせてまとめてみます。
はくちょう座の網状星雲
はくちょう座にある網状星雲は、約1万年前に起きた超新星爆発の名残として広がる超新星残骸。細い糸のようなガスが複雑に絡み合い、美しい模様を描いているのが特徴です。網状星雲は広い範囲に広がっており、代表的な部分としてNGC6960、NGC6992、NGC6995などがあります。写真では鮮やかに見える天体ですが、実際には非常に淡いため、きれいに写すには長時間露光やナローバンドフィルターを使った撮影が効果的です。時間をかけて丁寧に撮影することで、網状に広がる繊細な構造をより美しく表現できます。

今回の撮影条件
今回、はくちょう座の網状星雲の撮影に使用した機材は、タカハシ FS-60CB(レデューサー使用)、ZWO ASI294MC Pro(冷却CMOSカメラ)、そしてSV220デュアルバンドフィルターです。この組み合わせは、広がりのある網状星雲を撮影するのにちょうど良い画角となります。撮影は300秒露光を15枚行い、総露光時間は75分です。デュアルバンドフィルターを使用しているため、星雲の淡い光を捉えるには比較的長めの露光が必要でした。
本来であれば、さらに撮影枚数を増やしたかったのですが、途中から雲が広がり始めたため、残念ながら撮影を終了することになりました。それでも、網状星雲らしい繊細なガスの流れや複雑な構造を写し出すことができたと思います。次回は天候に恵まれた夜に、さらに撮影枚数を増やして再挑戦してみたいと思います。
SV220 デュアルバンドフィルター
今回使用した「SV220デュアルバンドフィルター」についても、簡単にご紹介します。
SV220は、「Hα(656.3nm)」と「OIII(500.7nm)」の輝線を中心に透過し、それ以外の波長を大幅にカットするデュアルバンドフィルターです。街明かりや月明かりなどの不要な光を抑えながら、星雲が発する光を効率よく捉えられるため、光害のある環境でも高コントラストな星雲撮影を行いやすいのが特徴です。特に、網状星雲や北アメリカ星雲、干潟星雲などの輝線星雲との相性が良く、星雲の淡い構造を引き出しやすくなり、CMOSカメラと組み合わせることで、比較的ナローバンド撮影に近い表現を楽しめます。
一方で、使用する光学系や撮影対象によっては、フィルター特有のクセが現れる場合もあり、F値の明るい鏡筒では透過特性がわずかに変化したり、明るい恒星の周囲にハロが発生したり、星の色合いが実際とは異なって見えたりすることもあるようです。こうした現象は画像処理によってある程度補正できますが、フィルターの特性を理解したうえで活用したいところです。
総合的に見ると、SV220は光害環境下での星雲撮影に大きな効果を発揮するフィルターです。網状星雲のような淡い星雲のコントラストを高めたい方にとっては、メリットの大きいアイテムではないでしょうか。同クラスのデュアルバンドフィルターの中では価格も比較的手頃で、コストパフォーマンスの高さも大きな魅力のひとつです。


作例について
今回の作例では、網状星雲の複雑に入り組んだフィラメント構造を捉えることができました。特に、細く繊細なガスの筋が印象的で、画像処理を進めながら改めて網状星雲の魅力を実感しました。
一方で、総露光時間がやや短かったこともあり、背景ノイズが目立つほか、淡いガスの描写には少し物足りなさが残ります。もう少し露光時間を確保できていれば、網状星雲を取り巻くさらに淡いフィラメントまで表現できたかもしれません。それでも、今回の撮影条件を考えると、網状星雲ならではの複雑な構造や色の変化を十分に捉えることができたように思います。今後は露光時間を増やしながら、より滑らかな描写と淡いガスの表現にも挑戦してみたいと思っています。

今後撮影してみたい天体
今後、撮影してみたい対象としては、M8(干潟星雲)、M20(三裂星雲)、そしてNGC7000(北アメリカ星雲)やIC5070(ペリカン星雲)を考えています。いずれも夏を代表する散光星雲で、デュアルバンドフィルターとの相性が良く、「Hα」と「OIII」による美しい色のコントラストが期待できます。また、広がりのある天体が多いため、小型の屈折望遠鏡でも構図を取りやすく、気軽に撮影を楽しめる点も魅力です。あとは撮影当日に天候が味方してくれることを願うばかりです。
さらに、最近は「SV240マルチパスバンドフィルター」も購入したため、このフィルターを使用した天体撮影についても今後ご紹介していきたいと思っています。
まとめ
今回は、はくちょう座の網状星雲を撮影してみました。網状星雲は非常に淡い天体のため、手軽に撮影できる対象ではありませんが、その繊細な構造を写真に写し出せたときの達成感は大きく、改めて魅力を感じさせてくれる天体だと感じました。都市部の環境でも星雲のコントラストを確保しやすく、淡い部分の描写を引き出すうえで大きな力を発揮してくれます。
一方で、網状星雲の細かな構造まで表現するには十分な露光時間が必要であり、扱いには少しコツが必要だとも感じました。これからもさまざまな天体の撮影に挑戦しながら、少しずつ作例を増やしていきたいと思います。
