今回の話題は月面X(ゲツメン・エックス)です。月面Xが見れるのは年に数回、上弦の月(半月)の時。明るい部分と暗い部分の欠け際を見ると、「X」の文字が見えます。上弦の月になれば、必ず見られるわけではなく、タイミングが合わなければ見ることはできません。月面Xを見るポイントについて解説します。
月面Xとは?その魅力と見える条件
月は毎日形が変わり、私たちにいろんな姿を見せてくれます。満月も素敵なのですが、半月や三日月などもなかなか魅力的です。月面に対して太陽光が横から当たると隆起した部分(あるいは凹んでいる部分)があると、そこに影ができます。隆起が大きければ大きいほど(凹みがあればあるほど)影が鮮明に見え、クレーターの存在感がしっかりと確認ができます。
月面Xは、太陽光の当たる部分と影の部分が合わさり、ちょうどローマ字の「X」に見えることから「月面X」と呼んでいます。下の写真は天体望遠鏡で撮影した「月面X」の写真です。「X」文字が見えますが、見方によっては漢字の「火」にも見えます。そうすると、「月面火」?やはり「月面X」という呼び方のほうがしっくりきます。
月の真ん中の下あたりに「X文字」が見えます。この「X文字」が見えるのはわずか1、2時間ほどです。次に、動画で見てみましょう。「X」文字がある場所は月の真ん中の下あたりです。小さいので注意深く見てください。
さらに「月面X」を拡大した動画です。しっかり「X文字」が見えています。高度が低く、大気や水蒸気の影響により、全体的に画像が揺れています。周りのクレーターもなかなかな見応えがあります。
「X」以外の文字はあるの?
この「X」という文字は、たまたま「X」に見えるため、「月面X」と呼んでいますが、「X」以外にも、「V」や「L」という文字があり、「月面V」、「月面L」と呼んでいます。
過去に撮影した「月面X」
2022年12月30日20時半ごろ。この日は雲もなく、月面Xもよく見えました。
月面LOVEもある!
「月面LOVE」です。「L」の文字はかろうじてわかる程度。さらに「E」の文字が「E」ではないような気がします(笑い)。月面に「LOVE」の文字があるというだけでも月の魅力は倍増します!
月面Xを観察するための天体望遠鏡
月面Xは肉眼では見えないため、天体望遠鏡が必要です。次の写真は、ビクセンED80という屈折式天体望遠鏡(口径80mm、焦点距離720mm)です。30年以上前の天体望遠鏡ですが、今でも使っており、星空観望会でも大活躍しています。この天体望遠鏡であれば、月面Xはもちろんのこと、土星や木星もばっちり見えます。
このビクセン80ED に近い性能を持った天体望遠鏡は、同じメーカーであれば「ビクセンポルタⅡA80Mf」という望遠鏡があります。ビクセンホームHPには「ビクセンポルタⅡA80Mfは、初心者からベテランまで幅広く支持を得るベストセラー月面や火星観察にもおすすめの入門機」と書かれています。おすすめの天体望遠鏡のひとつです。
●対物レンズ有効径 80mm/アクロマート
●焦点距離(口径比F) 910mm(F11.4)
●分解能/極限等級 1.45秒・11.3等星
●集光力 肉眼の131倍
●サイズ/重さ 長さ860mm、外径90mm/3.3kg
●ファインダー 6倍30mm 実視界7度
2025年の月面Xはいつあるのか?
2024年の月面Xが見える日は、1月18日が好条件でした。しかしこの日以外は好条件ではありませんでした。しかし、2025年は、以下の日時が好条件です。正確な時間はアストロアーツさんの天文現象カレンダーが参考になると思います。しっかりと準備を整え、月面Xの観察に挑戦してみてください。
🌓2025年の「月面X」が現れる日時(予想)
・2025年 2月 5日(水)18時頃
・2025年 4月 5日(金)22時半頃
・2025年 8月 1日(月)20時40分頃
・2025年 9月29日(月)18時半頃
・2025年11月27日(木)20時半頃
星空観察の楽しみ方と今後のイベント
月面Xが観測できるタイミング以外にも、四季折々の星座や天の川を楽しむことができます。星空散歩に出かけ、満天の星空を堪能しながら、次回の月面X観測に向けて準備をしてみましょう。それでは、またお会いしましょう!