スターブックテンを使ってオートガイド撮影を行うためには、コントローラー本体のほかにアドバンスユニットとCCDカメラが必要です。CCDカメラの映像はスターブックテンの画面に表示され、その映像に映る明るい星を目印にしてオートガイドが可能になります。アドバンスユニットはアナログタイプのカメラ、特にCCDカメラに対応しており、感度の良いカメラを選ぶことが成功の鍵です。今回使用した「WAT-910HX」は、その感度の高さから多くの星が鮮明に映し出され、オートガイド撮影に最適な選択肢となります。
WAT-910HXの特徴と性能
「WAT-910HX」は、アナログ型CCDカメラの中でも特に感度が高い製品です。CCDサイズは1/2インチで、フレーム蓄光タイプを採用。最低シャッター速度1/60秒、最低被写体照度0.0000025 lx（F1.4）という驚異的な感度を誇ります。これにより、非常に暗い星まで映し出すことが可能です。さらに、OSD（オンスクリーン設定画面表示）機能を搭載しており、多彩な設定をモニターを見ながら直感的に行えます。ただし、現在は販売中止となっており、新品での入手は難しい状況です。中古で購入することになると思いますが、WAT-910HX自体が多くが回っているわけではないので、頻繁にチェックすることをおすすめします。ちなみに私は、Yahoo!オークションで購入しました。
【参考】WAT-910HX仕様
https://www.watec.co.jp/image/spec/WAT-910HX.pdf
【参考】アドバンスユニット 取扱説明書
https://www.vixen.co.jp/vixen_cms/wp-content/uploads/manual/p253012.pdf
ビクセン 2.4倍 Cアダプター 31.7mm
31.7mmサイズに変換するアダプターです。望遠鏡の焦点距離を2.4倍に引き伸ばします。
「WAT-910HX」と「ガイドスコープ」について
WAT-902H2と用いてガイドしていた頃は、ガイドスコープの向いている方向によってはスターブックテンのモニターに明るい星が写らないことがありました。その場合は、微動雲台（写真は協栄産業 オリジナル低重心ガイドマウント）にガイドスコープを載せ、調整しながら明るい星を導入していました。微動雲台や口径の大きいガイドスコープを使うば、機材が重くなり、また重心も高くなってしまうため、赤道儀に負担がかかってしまいます。できるだけ軽く収めるためにも、ガイドスコープのみの使用で済ませたいところです。WAT-910HXの高感度と組み合わせることで、より多くの星をガイドに利用できるため、ガイドの導入や精度も高まります。特に、明るい星が少ないエリアでも、WAT-910HXなら対応可能な星が多く、ガイドスコープの調整を最小限に抑えることができます。
WAT-910HXを用いた実際の撮影レビュー
実際にWAT-910HXを使用してみると、その高感度によって7、8等星までもが鮮明に映し出されました。このため、通常ならガイドスコープを頻繁に調整しなければならない場面でも、調整が不要なことが多くなり、非常に効率的な撮影が可能でした。さらに、WAT-910HXは最大256枚までの蓄光が可能であり、数枚の蓄光でも十分な結果を得ることができます。これにより、微動ガイドマウントを使用しなくても精度の高いオートガイドが実現しました。
スターブックテンとWAT-910HXの拡張性
スターブックテンは拡張性に優れ、一眼カメラのリモコン端子と接続することでリモートレリーズ操作が可能です。また、CCDカメラの映像をSDカードに録画・再生する機能もあり、パソコンが不要な点も大きな利点です。このような機能により、配線や電源確保の煩わしさから解放され、手軽に天体撮影を楽しむことができます。スターブックテンは天体撮影において非常に魅力的なコントローラーです。
まとめ: WAT-910HXの総評とおすすめ
WAT-910HXは、その高感度とアドバンスユニットとの相性から、スターブックテンでのオートガイド撮影に最適な選択肢です。特に中古市場での購入となりますが、その性能は一度使うと手放せないほどです。天体撮影を楽しむ皆さんにも、ぜひ試していただきたい一台です。
