🛰プラネタリウム番組「VOYAGER/ボイジャー 終わりなき旅」を観てきました

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先日、東京都西東京市にある多摩六都科学館へ行ってきました。今回のお目当ては、プネタリウム番組「VOYAGER/ボイジャー 終わりなき旅」です。1977年に打ち上げられた2機の無人惑星探査機「ボイジャー1号・2号」。地球を出発してから、まもなく50年を迎えようとしていますが、現在も宇宙を飛び続けています。ボイジャーが木星や土星、天王星、海王星などを訪れた軌跡を、ドームスクリーンいっぱいに広がる映像で楽しむことができました。

今回の記事は、プラネタリウム番組「VOYAGER/ボイジャー 終わりなき旅」を鑑賞した体験とあわせて、ボイジャー探査機についても詳しくご紹介します。

目次

ボイジャー探査機の偉業:地球へ届けられた美しい惑星たち

ボイジャーが残した成果は素晴らしいものです。木星では、衛星イオで地球以外では初めてとなる活発な火山活動を発見しました。土星では、新しい衛星や、これまで知られていなかったリングが発見され、さらにボイジャー2号は、これまで探査機が訪れたことのなかった天王星と海王星を間近から観測しました。天王星の衛星ミランダに見られる複雑な地形や、海王星の衛星トリトンなども詳しく調べられています。

そしてボイジャー1号は2012年、ボイジャー2号は2018年に、太陽から吹き出す太陽風の影響が及ぶ「太陽圏」を抜け、星間空間へ入りました。つまり現在のボイジャーは、惑星を調べる旅を終え、太陽系の外側に広がる星間空間を進みながら、そこにある環境を調べています。

宇宙空間を進むボイジャー探査機のイメージ図(NASA/JPL-Caltech)
木星の大赤斑と周辺の複雑な雲の様子(画像:NASA/JPL-Caltech)
木星4大衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)(NASA/JPL-Caltech)
木星の衛星「イオ」。宇宙空間へ青白く噴き出す活火山噴煙が捉えられています(NASA/JPL-Caltech)
土星と衛星群(NASA/JPL-Caltech)
イジャー2号が1986年に撮影した天王星(NASA/JPL-Caltech)
海王星の表面には「大黒斑」と呼ばれる巨大な嵐や白く輝く雲が捉えられています。(NASA/JPL-Caltech)
ボイジャー1号が1977年の打ち上げ直後(地球から約1160万km)に撮影した地球と月がひとつの画角に収まった史上初の写真(NASA/JPL-Caltech)
ボイジャー1号が地球から約60億km離れた場所から撮影した地球(〇のところ)(NASA/JPL-Caltech)

宇宙へ託したタイムカプセル ~ ゴールデンレコード ~

ボイジャーに搭載された観測機器

では、ここから少しずつボイジャーについて見ていきましょう。 探査機には、惑星や宇宙空間を調べるためのさまざまな観測装置が搭載されていました。例えば、惑星や衛星を撮影するためのカメラ、磁場を測定する装置、宇宙空間を飛び交う粒子を調べる装置などです。打ち上げ当初、ボイジャーには 11種類の科学観測装置 が搭載されていましたが、現在は電力を節約するため、一部の観測装置は停止されています。それでもボイジャーは、今も宇宙空間を進みながら観測を続けています。そして、ボイジャーにはもう一つ忘れてはならないものがあります。 それが 「ゴールデンレコード」 です。

ゴールデンレコード

ボイジャー1号と2号には、金色のレコード盤「ゴールデンレコード」が1枚ずつ搭載されています。直径約30cmの金メッキされた銅製レコードで、地球の画像や自然の音、55の言語による挨拶、世界各地の音楽などが収録されています。これは、遠い未来にボイジャーを見つけた知的生命体に向けた、地球からのメッセージです。NASAによると、レコードには115枚の画像や自然の音、さまざまな文化や時代の音楽なども収録されています。レコードのカバーには、再生方法を示す図や、地球の位置を示す「パルサー・マップ」なども刻まれています。

実際に誰かがこのレコードを見つけてくれる可能性は分かりませんが、それでも、約50年前の人類が「いつか誰かに届くかもしれない」と考え、宇宙へ送り出したレコードだと思うと、とても興味深いものですね。

(出典:NASA/JPL-Caltech)

・左上:レコードの再生方法針の使い方や再生速度など、レコードを再生する方法を示しています
・右上:写真の復元方法レコードに収録された写真を、どのように画像として復元するかを示しています
・左下:パルサー・マップ14個のパルサーを手がかりに地球のある太陽系の位置を示しています
・右下:水素原子時間や長さを測るための、宇宙共通の基準として使われています

ゴールデンレコードに収録されている世界55言語の挨拶の音声ファイル

NASA Voyager – Greetings to the Universe

→ 音声ファイル

もし知的生命体がボイジャーを見つけたら?

もし、遥かな未来に未知の知的生命体がボイジャーを発見したとしたら、一体どのような出来事が起きるのでしょうか。まず彼らがボイジャーに遭遇したとき、それが自然の産物ではなく「意図して作られた人工物」であると気づかなければなりません。その上で、探査機に搭載されたゴールデンレコードを見つけ出し、そこに刻まれた記録や内容を読み取るというハードルを越える必要があります。

しかし、その答えを私たちが知る由はありません。ボイジャー1号が最も近い別の恒星の近くを通過するだけでも、およそ4万年という途方もない年月がかかります。その頃に地球がどのような姿をしているのか、あるいは人類という種が存続しているのかさえ誰にも分かりません。そう考えると、ゴールデンレコードは単に「未知の宇宙人に向けた手紙」という役割を超え、遠い未来の宇宙へ向けて打ち出された「かつて人類が存在した証としてのタイムカプセル」と言えるのかもしれません。

知れば知るほど面白い!ボイジャーに関する疑問

ボイジャーの動力源は?

太陽からあれほど遠く離れた漆黒の宇宙空間を旅するボイジャーですが、一体どのようにして探査に必要な電気を作り出しているのでしょうか。

実はボイジャーには太陽電池パネルではなく、「RTG(放射性同位体熱電気転換器)」と呼ばれる装置が使われています。これは簡単に言えば、プルトニウムが放射性崩壊を起こす際に発生する熱を利用して発電する仕組みです。太陽の光がほとんど届かない過酷な環境であっても安定して電気を作ることができるため、ボイジャー1号・2号にはそれぞれ3基のRTGが搭載され、50年以上におよぶ長期間の探査活動をしっかりと支えてきました。

しかし、この優れた装置も永遠に同じ量の電気を生み出し続けられるわけではありません。プルトニウムの放射性崩壊が進むにつれて発生する熱は少しずつ減っていくため、作れる電力も年々低下しています。NASAの発表によると、ボイジャーの電力は年間でおよそ4ワットずつ減少しているといいます。そのため現在は、不要となった観測装置やヒーターの電源を順次落とすなど、限られたエネルギーを大切に分け合いながら、途絶えそうな電力を極力引き延ばす運用が続けられています。

ボイジャー探査機に搭載されている放射性同位体熱電気発電機(NASA/JPL-Caltech)

宇宙を飛んでいて、何かにぶつからないの?

これも番組を観ていて気になったことの一つです。宇宙には何もないように見えますが、実際には微小なチリや粒子などが存在します。では、ボイジャーが何かにぶつかる可能性はないのでしょうか。結論から言うと、もちろん「絶対にない」とは言えませんが、大きな天体や目に見える岩石に衝突する可能性は奇跡に近いほど極めて低いと考えられています。その一番の理由は、私たちが想像する以上に「宇宙空間がスカスカで広いから」です。

また、ボイジャーの主要な機器や配線は頑丈な装甲や断熱ブランケットでしっかり保護されており、微粒子レベルの衝突には十分耐えられる構造になっています。実際、ボイジャーは打ち上げから半世紀近く経った今も、大きなトラブルなく旅を続けています。

ボイジャーはこれからどこに向かっているの?

惑星探査を終えたボイジャーは、それぞれの軌道に沿って太陽系の外側へ進み続けています。そして、いずれ科学観測も通信もできなくなります。それでも探査機そのものは止まりません。電力がなくなっても、宇宙空間をそのまま飛び続けます。この「飛び続ける」というところが、ボイジャーの面白いところだと思います。

ボイジャーが進む方向には、ほぼ何もない広大な空間を、ただひたすら進んでいきます。実際、NASAによれば、ボイジャー1号は約4万年後、現在の位置から約1.7光年の距離まで恒星「AC+79 3888」に近づくとされています。「近づく」といっても、光のスピードで1.7光年です。これだけ聞いても、宇宙の広さを感じます。

現在の位置

太陽系から星間空間へと向かうボイジャー1号の位置を示しています。太陽圏を脱出し、オールトの雲を経て他恒星系へと向かっています(NASA/JPL-Caltech)
ボイジャー2号と地球のリアルタイムな位置・距離データ(地球から約217億km離れた位置)」が開示されています (NASA/JPL-Caltech)

NASA「Where Are Voyager 1 and Voyager 2 Now?」

☞ 現在のボイジャーの位置

太陽圏脱出を裏付ける証拠

ボイジャー1号が太陽圏(ヘリオスフィア)を脱出し、恒星間空間へ到達したことを証明する観測データがオープンになっています。太陽圏の外側はプラズマ密度が高くなる特性があり、2012年後半から2013年にかけてプラズマ振動の周波数が上昇し、周りの密度が急増したことが検知されました。この密度の変化こそが、ボイジャー1号が太陽の磁場バブルを抜け、人類初の「恒星間空間」に突入したことを裏付ける証拠となりました。

ボイジャー1号のプラズマ波観測装置(PWS)が捉えたデータのスペクトログラム

電子プラズマ振動:ボイジャー1号が星間空間に到達(Science@NASA

☞ 音声ファイル

まとめ:多摩六都科学館で観て感じたこと

多摩六都科学館で『VOYAGER/ボイジャー 終わりなき旅』を観てきました。ドームいっぱいに広がる映像に包まれると、自分も一緒に暗い宇宙を旅しているような不思議な感覚になります。難しい解説もなく、内容がすっと頭に入ってくるので、気づけばあっという間の30分でした。

一番心に残ったのは、1977年に打ち上げられたボイジャーが、今この瞬間も宇宙を走り続けているということです。木星や土星、天王星、海王星の姿を私たちに届けてくれたあとも止まることなく、太陽圏を抜けた先の未知の世界をずっと進んでいます。機体には「かつて地球に人間がいた」という証のゴールデンレコードが載せられており、遠い未来にどこかの知的生命体がこれを見つけるころ、地球や人類はどうなっているんだろう……とそんなことも考えてしまいました。

科学館の館内にはボイジャーの実物大模型も置かれています。スクリーンで鑑賞したあとにこの模型を見ると、約50年前に人類が送り出した探査機の大きさや姿を、より身近に感じることができるはずです。ぜひ機会があれば足を運んでみてくださいね!

多摩六都科学館では、ボイジャーの実物大模型が展示されています

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