太陽を特別なフィルター越しに観察すると、表面に黒い点のようなものが見えることがあります。これは「黒点」と呼ばれる現象で、太陽の磁場が関係しています。本記事では、黒点の仕組みや撮影方法、太陽の進化、安全な観測方法について解説します。
【安全対策】太陽観測時の注意点
太陽を直接見ることは非常に危険です。強い光が網膜にダメージを与える恐れがあるため、肉眼や望遠鏡、双眼鏡を使って無防備に観察しないようにしましょう。観測を行う際は、必ず専用のフィルターを使用し、安全な方法を守ることが重要です。

太陽の寿命と未来
現在の科学的計算によると、太陽の寿命は約100億年とされており、現在は誕生から約50億年が経過したところです。人間の一生を80年とすると、太陽は働き盛りの40歳といったところでしょうか。
約50億年後、太陽の中心部で水素の核融合反応が終わり、ヘリウムの核融合が始まると、太陽は赤色巨星と呼ばれる状態に変化し、現在の約150倍にまで膨張すると考えられています。この膨張によって、水星や金星は太陽に飲み込まれてしまうと予測されています。地球は飲み込まれないまでも、表面の海は蒸発し、灼熱の星となるでしょう。その頃には、人類は地球を離れ、他の惑星への移住を余儀なくされているかもしれません。

黒点の正体
太陽の表面温度は約6000℃ですが、黒点の温度は約4400℃です。周囲より約1600℃低い温度のため、黒く見えます。しかし、4400℃という温度自体も非常に高温であり、実際には黒いわけではありません。周囲との温度差によって黒く見えます。
では、なぜ黒点は温度が低いのでしょうか?その原因は「磁場」です。太陽は非常に強い磁場を持っており、黒点はその磁場が太陽表面を貫いている場所です。磁場は熱の対流を妨げるため、黒点の温度は周囲よりも低くなると考えられています。

太陽を見るには、「太陽フィルターフィルム」が必要
安全に太陽を観測するためには、「太陽フィルターフィルム」が不可欠です。この特殊なフィルムは、太陽光を10万分の1に減光する効果があり、これを通して見ることで、太陽の表面や黒点を安全に観測できます。

【参考】
自作太陽フィルターの作り方
太陽フィルターフィルムを天体望遠鏡の対物レンズの口径に合わせて切り、隙間なく覆うように取り付けます。ダンボールや厚紙などで枠を作り、フィルムを挟むようにすると、より安全に取り付けることができます。フィルムにシワができないように、セロハンテープなどで丁寧に固定しましょう。
【注意点】
・フィルターに傷やピンホールがないか確認してから使用してください。
・フィルターの表面には直接触れないようにしてください。
・ファインダーにも太陽フィルターを取り付けるか、キャップをするか、取り外すなどして、誤って太陽を見てしまわないように対策を講じてください。




太陽のピント合わせと撮影
太陽には目立つ目印がないため、ピント調整が重要です。まず遠くの建物などでピントを調整し、その後フィルターを装着して太陽を確認します。黒点が見えたら、ライブビューなどを利用しながら微調整すると、鮮明な画像を得られます。


太陽の黒点を撮影

黒点付近のアップ写真です。これぐらい拡大するとインパクトがありますね。
太陽活動の周期と今後の予測
太陽の活動は約11年周期で変動し、黒点の数やフレアの頻度が変化します。現在の研究では、次の活動ピークが2025年頃と予測されており、地球の通信や電力システムに影響を与える可能性があります。

まとめ
太陽を安全に観察する方法として、専用のフィルムを使った観測手順を紹介しました。このフィルムを活用することで、黒点の数や大きさ、形を確認できます。観測の際は、適切なフィルムを使用し、安全に注意しながら楽しみましょう。

