「紫金山・アトラス彗星」は、2023年1月に発見され、2024年10月1日に地球に最接近しました。この彗星は非常に明るく、肉眼でも観測が可能で、天体ファンにとって大きな話題になっています。この記事では、彗星の詳細情報や観測方法、さらに撮影した写真やタイムラプス映像もご紹介します。
紫金山・アトラス彗星について
彗星の名前の由来
「紫金山・アトラス彗星」の名前は、発見された「紫金山天文台」と「ATLAS望遠鏡」に由来します。2023年1月9日に中国の紫金山天文台で発見され、南アフリカのATLAS望遠鏡で確認されたことから、この2つの観測所の名前が合わさり「紫金山・アトラス彗星」と命名されました。
彗星はどこからやってきた?
「紫金山・アトラス彗星」は、太陽系外縁部にあるオールトの雲から飛来したと考えられています。オールトの雲は1兆以上の微小天体が集まる領域で、長周期彗星の起源です。この彗星も、惑星や他の天体の重力によって軌道が変わり、長い旅を経て私たちの目の前に現れました。次にこの彗星が地球に来るのは、約8万年後です。
観測のチャンス:2024年10月
2024年10月12日から15日にかけて、夕方の空で紫金山・アトラス彗星を観測する絶好のチャンスが訪れました。10月頃の紫金山・アトラス彗星は、空高く昇り、双眼鏡や望遠鏡を使えば、肉眼では難しいディテールも確認できます。特に10月中旬以降は、彗星が高く上がり、より観測しやすくなりますが、徐々に遠ざかり見えにくくなりますのでお見逃しなく。
国立天文台HP_ほしぞら情報2024年10月より
彗星の見つけ方
彗星を見つける簡単な方法として、握りこぶしを使って位置を探すことができます。まず、インターネットなどで彗星の位置を確認しておくのがおすすめです。星図には通常、経緯線が10度間隔で引かれています。大人の場合、腕を伸ばして握りこぶしを作ると、そのこぶしの大きさが約10度の範囲に相当します。
次の星図は10月31日の17時48分ごろの星空です。ちょうど西の空には金星が明るく輝いています。例えば、この金星を目印として、右に握りこぶし1つ分(約10度)、さらに上に握りこぶし3つ分(約30度)移動すると、その周辺に紫金山・アトラス彗星が見えるはずです。この方法で大体の位置を探せるので、ぜひ試してみてください。
「紫金山・アトラス彗星」を撮影してみた!
今回の観測では、神奈川県の城ヶ島公園で彗星の撮影に挑戦しました。天気を事前に確認し、予想通り快晴の夜空に彗星がくっきりと見えました。使用した機材は以下の通りです。
●機材①:CANON KISS X5、CANON 85mm F1.8
●機材②:PENTAX K3、TAMRON 70-200mm F2.8
望遠鏡やカメラを使うと、肉眼では見えない細かなディテールまで捉えることができ、大満足の結果となりました。
「紫金山・アトラス彗星」のタイムラプス!
こちらは、彗星が沈んでいく様子を捉えたタイムラプス映像です。彗星がゆっくりと地平線に沈んでいく様子が幻想的で、まるで宇宙の旅をしているかのような感覚を味わえます。途中で雲がかかり、残念ながら彗星の姿が隠れてしまいましたが、それでも感動的な瞬間を捉えることができました。音楽付きで編集しています
まとめ
あの夜、夜空を悠々と泳ぐ彗星を見た時の感動は、今も心に残っています。神秘的なその姿に心を奪われ、宇宙の広大さ、そして自分の存在の小ささを感じました。「もう一度あの感動を味わいたい」そう願う気持ちは、きっと誰しもが抱くものですね。しかし、彗星との再会は、そう簡単には叶いません。彗星の周期は様々で、数十年から数万年単位のものもあります。それでも、諦めることはありません。天文学者たちは、日々観測を続け、新たな彗星の発見や、彗星の動きを予測しています。もしかしたら、思わぬ出会いが訪れるかもしれません。その時まで、宇宙へのロマンを胸に、日々を過ごそうと思います。