今回は、ペンタックスのO-GPS1(および後継機O-GPS2)とアストロトレーサー機能に焦点を当て、オリオン座の撮影結果を徹底検証しました。アストロトレーサーを活用することで、長時間露光でも星を点像で捉えることが可能となり、天体写真の表現力が飛躍的に向上します。本記事では、その性能検証結果に加え、O-GPS1/2を使用する上でのポイント、さらに天体写真撮影の基礎知識も交えながら、詳しく解説していきます。これからO-GPS2の購入を検討されている方、O-GPS1をお持ちの方、そして天体写真に興味を持ち始めたばかりの方にも、役立つ情報をお届けできれば幸いです。
O-GPS1/2とは?機能と特徴
O-GPS1/2は、ペンタックスのデジタル一眼レフカメラ専用のGPSユニットです。ペンタックス独自のアストロトレーサー機能を実現するための重要な役割を担っています。
*アストロトレーサー機能:地球の自転に合わせてカメラのイメージセンサーを微動させることで、星の動きを追尾し、長時間露光でも星が線状に流れるのを防ぎます。これにより、点像の美しい星空写真を撮影することができます。
天体写真撮影の基礎知識
天体写真は、通常の写真撮影とは異なり、長時間露光が基本となります。地球の自転により、星は時間とともに動いて見えるため、露光時間が長くなると星が線状に写ってしまいます(これを「日周運動」といいます)。アストロトレーサーはこの日周運動を補正する役割を果たします。
2022年6月には、O-GPS1の後継機である「O-GPS2」が発売されました。O-GPS1は10年前の製品となりますが、アストロトレーサー機能は健在で、今でも十分に活用できます。






アストロトレーサーの準備:キャリブレーションの重要性
アストロトレーサー機能を最大限に活用するためには、正確なキャリブレーションが不可欠です。キャリブレーションとは、O-GPS1/2が正確な方位情報を取得するための調整作業です。
キャリブレーションの手順
1.カメラのメニューから「キャリブレーション」を選択します。
2.カメラを3軸方向(水平、垂直、光軸回転)に180度以上回転させます
この作業を行うことで、アストロトレーサーが正しく作動し、高精度な天体追尾が可能となります。


オリオン座の撮影結果:アストロトレーサーの効果を検証
【検証環境】
*カメラ:ペンタックスKP
*レンズ:シグマ18-35mm F1.8 DC HSM
*撮影場所は、妙義公園(群馬県)標高720mm
ペンタックスKPの場合、アストロトレーサーの追尾可能時間は最長300秒とされています。APS-C機では200mm(35mm判換算300mm)の焦点距離まで対応可能とされていますが、天体の種類、レンズの焦点距離、撮影場所の高度などによって変動します。

カメラの種類ごと、アストロトレーサーの追尾可能時間(目安)が書かれています。ペンタックスKPの追尾能力は、最長300秒まで可能。また、APS-Cで200mm(300mm換算)にも対応していると公表されていました。もちろん、目的の天体、レンズの焦点距離、撮影場所、高度によっても変わってきます。
関連データ:O-GPS1仕様(リコーイメージング公式)
アストロトレーサーON/OFF比較
アストロトレーサーを使うと、星の写真が大きく変わることがわかります。アストロトレーサーをオフにして撮影すると、星が線のように長く伸びてしまいます。しかし、アストロトレーサーをオンにして180秒の露光で撮影すると、星が少しは流れてしまいますが、丸い形を保っていることがわかります。これは、アストロトレーサーがしっかりと星の動きを追跡してくれたおかげです。
<OFF>



<ON>



オリオン座委の三ツ星を拡大してみました。90秒までの露光では星は点像で捉えられ、120秒では若干の星の流れが見られましたが、実用範囲内と言えるでしょう。

O-GPS1とO-GPS2の比較
O-GPS1とO-GPS2の主な違いは、受信可能な衛星数の増加とキャリブレーション時間の短縮です。O-GPS2はより高精度な位置情報取得と快適な使用感を提供します。また、一部のペンタックスカメラにはアストロトレーサー機能が内蔵されており、O-GPS1/2なしで使用可能です。



まとめ:アストロトレーサーで星空を身近に
天体撮影は、天候や月齢に左右されることが多いですが、アストロトレーサーは天体写真へのハードルを大きく下げてくれる素晴らしいツールです。カメラ、O-GPS1/2、三脚があれば、手軽に本格的な天体写真撮影を楽しめます。星空を見上げる感動を写真に残したい、そんなあなたに、アストロトレーサーはきっと力強い味方となるでしょう!



【参考: O-GPS2】