天体望遠鏡を選ぶ際、観測したい天体や利用シーンに応じて最適な機種を選ぶことが重要です。万能な天体望遠鏡は存在しませんが、「セレストロン NexStar Evolution 」は、多機能かつ使いやすい自動導入天体望遠鏡として、多くのユーザーに支持されています。
セレストロン NexStar Evolutionの特徴
では、「セレストロン NexStar Evolution」の特徴について見ていきましょう!
「セレストロン NexStar Evolution」にはWi-Fi機能が内蔵されており、無料のアプリ「Sky Portal」をスマートフォンやタブレットにインストールすれば、アプリがコントローラーになります。面倒なコード類も必要なし。連続約7時間使用可能なバッテリー内蔵している点もGOODです!アライメントを済ませば、スマートフォンやタブレットから観望したい天体を選ぶだけで自動導入ができます。さらに、組み立ても簡単。赤道儀だと、極軸を合わす必要がありますが、「セレストロン NexStar Evolution」は経緯台なので三脚を広げてその上に架台と鏡筒をセットするだけです。
私が購入した「NexStar Evolution6」の概要d
■対物主鏡/有効径 : 150mm/シュミットカセグレン
■コーティング : StarBright XLTコーティング(主鏡・補正板)
■焦点距離(口径比F) : 1,5000mm(F10)
■分解能・極限等級 : 13.4等
■集光力 : 459倍
■鏡筒サイズ : 長さ330mm、外径152mm
■ファインダー : スターポインターファインダー
■プレート・バンド等 : 専用アタッチメントレール(ビクセン互換)
■総重量 : 17kg
鏡筒は軽くて長焦点のカセグレン式反射望遠鏡
NexStar Evolutionシリーズには、口径や焦点距離の異なる4つのモデルがラインナップされています。以下のように、観測対象や持ち運びのしやすさに応じて選ぶことができます。
「Nexstar Evolutionシリーズ」は4種類のモデルがあります
・NexStar Evolution 5: 口径12.7cm
・NexStar Evolution 6: 口径15cm
・NexStar Evolution 8: 口径20cm
・NexStar Evolution 9.25: 口径23.5cm
この鏡筒はカセグレン式反射望遠鏡です。どのモデルも月や惑星から星雲星団・銀河まで幅広い対象を楽しむことができます。ちなみに、私が買ったモデルは、口径15cmの「6」。鏡筒の重さはわずか3.6㎏です。
鏡筒を「タカハシFS60」に変更
鏡筒を、タカハシFS60に交換してみました。目的の天体によって鏡筒を変更したり、天体用CMOSカメラを取り付けて、リアルタイムで天体の映像をパソコンに映し出す電子観望も可能です。
注意点
NexStar Evolutionシリーズを使用する際には、鏡筒のサイズやカメラの取り付けによっては干渉が起こる可能性があります。特に天頂付近の観測時には、鏡筒やカメラの干渉を事前に確認することをお勧めします。
スターポインターファインダー
ボタンを押せば、赤いLEDレッドが点灯し、「ドット(点)」が現れます。表示窓を通して目標天体と赤いドットを重ねることでスムーズな導入が可能です。赤いドットの明るさ可変式。アライメントで導入したい天体の等級に合わせて明るさを調整できるので便利です。
三脚の安定性と持ち運び
三脚はステンレススチール製。目的によって長さを調整できます。また、「開き止め」があるのでしっかりと固定できます。三脚を実際に持ってみると重く、持ち運びに苦労しそうですが、その分、安定感があります。
天体望遠鏡の場合、少しの動きで目標天体がぶれてしまう可能性があるため、できるだけ重く、丈夫な三脚が求められます。その点を考慮すると、ある程度、重くなってしまうのは仕方がなく、この程度の重さであれば、十分に許容範囲内だと思います。あとでも書きますが、アクセサリートレイとしても機能する「開き止め」が付いており、アイピースなどの小物を置くのに便利です。
長時間使用可能なバッテリー内蔵
バッテリーはリチウムイオンバッテリーが内蔵されており、7時間程度の連続運転が可能(私はそこまで長く連続使用したことはありません)
DCケーブルをつなぐと、本体のセレストロンロゴの部分が赤くランプが点滅しますので、充電中かどうかわかりやすくなっています。また、USB充電ポートもあり、天体観測中にスマートフォンのバッテリー残量が少なくなってきたときなど、役に立ちそうですね。
WiFi経由でスマホやタブレットで星を導入
このNexstar Evolutionの最大の特徴は、WiFi経由でスマホやタブレットでコントロールができるところです。
【接続方法】
1.スマートフォンやタブレットにセレストロン無料アプリ「SkyPortal」をインストールします。
2.スマートフォンやタブレットの「設定」メニューを開き、WiFiオプションを選択します。
3.「Celestron-###」と名前の付いたアクセスポイント(SSID)を選択します。
4.「接続してアライン」をタップします。望遠鏡が今どの星に向いているかを認識させるためにアライメント(任意の明るい3つの星(基準星)を導入)という作業を行います。
5.アライメントが終了すれば、画面上の星をタップしてGOTOボタンを押せば即座に自動導入してくれます。
★Nexstar Evolutionをタブレットでコントロール。実際に動かしてみました。
【SkyPortalのマニュアル】https://www.vixen.co.jp/vixen_cms/wp-content/uploads/2020/09/SkyPortal.pdf
追尾精度はどうか
当然ながら、ハンドコントローラーも付属しています。実は、私はスマートフォンやタブレットの「SkyPortal」からではなく、バンドコントローラーを使用することが多いです。せっかく、WiFi経由でスマホやタブレットでコントロールができるのなぜ?と思われるかもしれませんが、以前から使用しているバンドコントローラーが使い慣れているためです。「ツースター」「ワンスター」でアライメントしています。自動導入の精度ですが、思っていた以上に正確でした。ちなみに、最後にアップしている土星とアンドロメダ銀河の写真は、ツースターアライメントで導入し撮影したものです。
ちょっとした配慮が嬉しい!
天体観測は暗い場所で見る機会が多いのですが、セレストロン NexStar Evolutionは、本体上部から赤色のほのかな明かりを照らしてくれるため、ちょっとした作業したい場合や接眼レンズを交換したい場合など、とてもありがたい機能です。また三脚の開き止め部分には、31.7mmサイズのアイピース置けるトレーを兼ねています。この機能はユーザー目線で考えられており、ちょっとした配慮ですが嬉しいですね。
セレストロン NexStar Evolution 6で撮影した月・土星
持ち運びに便利なグッツ
本体も三脚もそれなりに重く大きいです。持ち運びの際はキャリーケースなどあれば便利。メーカーが発売している収納ケースは、専用で作られているため耐久性・耐衝撃性ともに最も優れています。しかし、7万前後と高い。高すぎる(泣)。私のお小遣いではとても買えません。いろいろと検討した結果、「グリフィンランド ソフトキャリーケース Lサイズ」 を購入しました。少々大きくなりますが、写真のようになんとか収納できました。また、三脚はピッタリのバックが見つかりました。この2つのバックで持ち運びしています。
【グリフィンランド ソフトキャリーケース Lサイズ】販売中止?
【Manfrotto 三脚バッグ 90cm MB MBAG90PN】
まとめ
私は、このNexStar Evolution 6を使う機会が最も多く、11月8日の皆既月食もこの NexStar Evolution 6を使用して撮影していました。長時間露光を必要する本格的な天体写真はさすが厳しいと思いますが、ちょっとした観望や、ちょっとした天体写真(土星や木星など)には向いているように思います。バッテリーは本体に内蔵しており、また、面倒なコード類も必要がなく、スマートフォンやタブレットから観望したい天体を選ぶだけで自動導入ができなんて、なかなか魅力的な天体望遠鏡ではないでしょうか。