最近、「星空観賞用双眼鏡」というものが注目を集めているのをご存知でしょうか?
一般的な天体望遠鏡は、遠くの月や惑星、あるいは星団などの狭い範囲を大きく拡大して見るための機材ですが、星空観賞用双眼鏡は、名前の通り星空全体を広く眺めることに特化して作られています。広い夜空を、まるで肉眼で見るよりも少しだけ明るく、星の粒をはっきりさせてくれるような、そんなイメージです。
今回の内容は、星空観賞用双眼鏡 笠井トレーディングの「CS-BINO 2×40」を笠井購入し、実際に使用してみた感想をお伝えします。購入の参考にしていただければ幸いです。
星空観賞用双眼鏡の特徴
双眼鏡は、天体望遠鏡のように三脚を用意したり、細かなセッティングをしたりする必要がなく、外に出て空に向けるだけで星空を楽しめる手軽さが大きな魅力です。現在では、さまざまなメーカーから多種多様な双眼鏡が販売されています。その中でも、特に倍率の低い星空観賞用の双眼鏡は、広い夜空を一度に、気軽に眺められることが大きな特長です。
| 通常の双眼鏡 | 星空観察用双眼鏡 | |
|---|---|---|
| 倍率 | 8〜12倍が一般的 | 1.5〜3倍程度 |
| 視野の広さ | やや狭い | とても広い |
| 見え方の特徴 | 明るい星や月を拡大して見やすい | 星の数が増えて見え、空全体が明るく感じられる |
| 使い勝手 | 手ブレの影響を受けやすい | 手ブレが少なく気軽に使える |
| 三脚の必要性 | 高倍率では三脚があると便利 | 基本的に不要 |
| 向いている観察 | 月・惑星・星団など | 星座・天の川・広がりのある星空 |
私自身、以前から星空観賞用の双眼鏡に興味があり、「実際の星空でどんなふうに見えるのか試してみたい」と思っていました。そこで、いくつかの製品を比較検討した結果、笠井トレーディングの「CS-BINO 2×40」を購入することにしました。
CS-BINO 2×40を選んだ理由と、その特徴
私がこのCS-BINO 2×40を選んだ理由の一つは、「お手頃価格」と「メガネをしたままでも使いやすそうだったから」です。他のメーカーの星空観賞用双眼鏡にも、メガネをかけたまま使用できる製品はあると思いますが、笠井トレーディングの公式サイトには、次のように紹介されていました。
φ20mmの大きなアイレンズの採用により、眼鏡をかけたままでも最大視野の8割程度を見ることができるもの本機の特徴です。
普段からメガネを使っているので、できれば外さずに星を見たいという思いがありました。では、CS-BINO 2×40の特徴をみていきましょう!
CS-BINO 2×40の主な特徴
CS-BINO 2×40の主な特徴をまとめました。
●低倍率2倍で手ブレに強い
2倍という低倍率のため、手ブレの影響を受けにくく、手持ちでも落ち着いて観察できます。
●非常に広い視野
視野がとても広く、星座全体や天の川など、広い範囲の星空を一度に眺めるのに向いています。
●肉眼より星が見やすい
40mmの対物レンズと低倍率の組み合わせにより、肉眼よりも星が見やすくなり、やや暗い星も観察することができます。
●メガネをかけたままでも使用可能
20mmの大きなアイレンズの採用により、メガネをかけたままでも視野を確保しやすく、見たい範囲を無理なく観察できます。




ビクセン(Vixen) ACTY MS8X21SSとの比較
ビクセン ACTY MS8×21SSは、重さ約160gと非常に軽量でコンパクトな双眼鏡です。倍率は8倍で、月面のクレーターや明るい星団を拡大して楽しむことができます。対物レンズ径は21mmと小型のため、笠井トレーディングのCS-BINO 2×40と比べると、暗い星まで見る用途には向きませんが、手軽に天体を拡大観察したい方には十分な性能を備えています。また、天体観察だけでなく、コンサートや観劇など日常用途にも使いやすく、携帯性の高さと汎用性が評価されています。
| 特徴 | ビクセン ACTY MS8X21SS | 笠井トレーディング CS-BINO 2×40 |
| 倍率 | 8倍 | 2倍 (超低倍率) |
| 対物レンズ有効径 | 21mm | 40mm |
| 実視界 | 7.0° | 24° (非常に広い) |
| ひとみ径 | 2.6mm | 20mm |
| 明るさ (相対輝度) | 6.8 | 400 (ひとみ径の2乗で計算) |
| 重量 | 約160g | 約230g |
| 主な用途 | ライブ、観劇、スポーツ観戦、月面・明るい天体の部分拡大 | 星座観察、天の川の散開星団鑑賞、美術館、オペラグラス |
| 星空での見え方 | 星団や月面のクレーターなど、肉眼では見えない部分を適度に拡大して観察するのに適している。 | 肉眼の視野をそのままに、星を1〜2等級明るく、くっきりと見せてくれる。「肉眼のドーピング」と呼ばれる独特の見え方。星座全体が視野に入る。 |
| コーティング | 対物・接眼マルチコート (MC) | 全面ブロードバンド・マルチコート |



実際使用してみてわかった「良い点」と「気になる点」
個人差はあると思いますが、実際に使用して感じた「良い点」と「気になった点」をいくつかご紹介します。
良い点(メリット)
●視野の広さについて
オリオン座のような大きな星座も、双眼鏡をのぞけば一度にすっぽりと視界に収まります。肉眼ではなんとなく形がわかる程度だった星座が、双眼鏡を通すと一つひとつの星がくっきりと見え、立体的に浮かんでいるように感じられました。
●天の川の観察について
これまで天の川は、肉眼ではぼんやりとした雲のようにしか見えませんでしたが、双眼鏡を通すと、それが無数の星の集まりだということがわかりました。
●使用時の快適性について
高倍率の重たい双眼鏡だと、どうしても首や腕が疲れてしまうのですが、CS-BINO 2×40はとても軽く、長時間の観察でも疲れにくく快適に使えました。
●メガネ使用時の利便性について
視野の端までしっかり見えるので、メガネを外す必要がなく、とても快適に観察できました。
気になる点(デメリット)
●ピント調整の操作性
CS-BINO 2×40は、左右それぞれの目に合わせてピントを調整するIF方式を採用しています。自分の視力に合わせられるのは利点ですが、初めて使う際は両目のピントを合わせるのに少し慣れが必要だと感じました。
●メガネ使用時の注意点
メガネをかけたままでも使用できますが、視野を広げようとすると接眼レンズがメガネに触れることがあります。強く押し当てると傷がつく恐れがあるため、使用時には注意が必要です。
●屋外環境下での懸念
製品仕様に防水性や防曇加工の記載はなく、夜露や湿気の多い環境では注意が必要です。使用後はしっかり乾燥させるなどの手入れが必要だと思われます。
●収納の関する点
付属の収納ケースはしっかりしていて安心感がありますが、接眼レンズを伸ばしたままだと収まりません。収納時には毎回ピントを元に戻す必要があり、やや手間に感じました。




CS-BINO 2×40を通して見た星空(写真)
実際に星座を観察してみました。残念ながら観察中の写真は撮れませんでしたが、見え方のイメージを以下にまとめました。これはメガネをかけた状態での印象です。




まとめ
笠井トレーディングのCS-BINO 2×40は、星空を気軽に楽しみたい方に向いている双眼鏡だと感じました。高倍率の望遠鏡のように天体を大きく拡大するのではなく、肉眼で見る星空を少し明るく、くっきりと見せてくれる印象です。メガネをかけたままでも視野が広く、快適に観察できましたし、軽量で持ち運びもしやすいので、外出先でも使いやすいと思います。ピント調整にはやや慣れが必要ですが、落ち着いて使えば問題ありません。本格的な天体観測というよりも、夜空をゆったり眺めたい方におすすめできる一台です。


